ぼるとべい

伊豆と埼玉の見どころ紹介・雑文を織り交ぜて

ひとり暮らしの注意点 9

 

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※イメージ写真

 

 ひとり暮らしにもだいぶ慣れ、この四畳半部屋での生活を堪能していた約20年前、学生時代の先輩に2週間ばかり部屋を交換させられたことがある。

 

この先輩(以下、N先輩とする)は卒業後、いわゆるUターン就職をしたのだが、ちょうどその頃、ある国家試験に合格して専門職に就くための転職活動を東京で始めていた。N先輩は、当初、ウィークリーマンションを借りて、そこを拠点に活動をしていた。

 

 ある時、N先輩から呼び出されて、「お前の部屋としばらく交換してくれないか」と頼まれた。理由を聞くと、固定電話がある方が転職活動をしやすいからだという。

 

 当時は携帯電話が普及し始めてはいたものの、確かに今よりも固定電話の方がいろんな意味で信頼性があった。私は引っ越したばかりの時は、固定電話もなくて妹から携帯電話を借りていたのだが、電話料金の滞納だったか何かで妹と喧嘩になり、携帯を返すことになったのを機に固定電話を引いていた。

 

「それに、お前の部屋は “風呂なし・トイレ共同” だけど、妙に居心地がいいんだよな。」などと言われ、この四畳半の良さがわかる人物がついに現れたような気がして、交換することを承諾してしまった。

 

 しかし、いざ交換してウィークリーマンションに泊まり始めたのだが、何だか落ち着かなかった。専用のトイレと風呂が部屋にあるからいいだろうと思っていたけど、気分的に寛ぐことができなかったのだ。

 

テレビがないとか枕が変わったとか、色々、理由は考えられたが、結局のところ自分の部屋が一番落ち着くということだろう。

 

 その後、N先輩は無事に転職先も決まり、世話になったお礼ということで色々ごちそうになった。私も少しは役に立てたと思えて嬉しかったし、自分のことでなくても良い知らせが自分の部屋に届いたというのは縁起もいいし、喜ばしいことではあった。

 

ただ、それとは別の日に、N先輩の合格祝いを兼ねた飲み会があり、その時、後輩の女子たちから私に向けられる愛想笑いに何となく違和感があった。

 

その理由を探るべく聞きだしたところ、N先輩が私の部屋に女子も含めて何人も招き入れていたらしい。

 

「Nさん、転職活動中に何してたんですか?」と苦情を言ってみてもN先輩には、どこ吹く風である。知らぬ間にみんなに私の部屋を隅々まで物色されたようで、かなり恥ずかしかったが、N先輩には色々お世話になっているし、まあいいかな、と笑い流すことにした・・・。

 

 後日、一度だけこの部屋に来たことがある妻に、部屋の感想を聞いてみたことがある。

 

「二度と足を踏み入れたくないと思った。」と言われ、やっぱり、あの女子たちの愛想笑いは私の部屋にドン引きしていたんだと思うと残念でならない。

 

 

※写真は、「四畳半 部屋 アパート 写真 無料」で検索したものを借用しています。

 雰囲気で選んでいます。